テーマトークから ― Death with Dignity

11月8日(土)はトークのテーマとして、アメリカで末期ガンの宣告を受けた29歳の女性、ブリタニー・メイナードさんが安楽死を選択したニュースを取り上げました。

8日のサークルでは特にワシントンポストの記事を教材に使いましたが、このニュースはたくさんの新聞やウェブニュースで取り上げられていたので、私もいろんな記事を読んでみました。

多くの記事でdeath with dignityという表現が使われていました。このまま訳すと「尊厳死」ということになるのですが、本来「尊厳死」というのは死期が迫り耐え難い苦痛が続く状況にある人が、それ以上の治療すなわち延命治療を行わないという意味。この女性の場合は、耐え難い苦痛が襲う前に医者が処方した薬によって命を絶ったわけなので、その意味での日本語は「安楽死」という言葉を使うようです。

日本語のニュースを見ると、英語のdeath with dignityをそのまま尊厳死と訳している記事もありましたが、NHKのニュースでは「安楽死」と言っていました。

「安楽死」とは、医者が処方した致死量の薬物を投与することによって末期の病気に苦しむ患者を死に至らしめること、だそうです。これを「自殺ほう助」という言い方もでき、賛否が分かれることになります。

英文ニュースでも、death with dignityという見出しではあるものの、本文では、”took lethall drugs prescribed by her physician”(医者から処方された致死量の薬物を飲んだ),”chose to abbreviate the dying process by taking the aid-in-dying medication”(医師による自殺ほう助を受けて死期を早めた)、という説明がされており、doctor-assisted death, physician-assisted suicide という表現もありました。

ちなみに、「安楽死」を和英辞典で調べるとeuthasiaという単語が出てきたのですが、それを使っている英文記事は見当たりませんでした。(私が見落としているだけかもですが)

ともかく「尊厳死」「安楽死」という言葉の定義そのものが日本語でも英語でも非常に難しく、国や地域でも法律で認められていることが違うし、個人の信条によっても理解のしかたが違います。

単語そのものを覚えるだけではなく、その意味することを説明できることが大事だと思いました。

サークルでこのニュースを語り合った際にも、最初は言葉の意味を議論していましたが、そこで結論が出るわけでもないので、それよりも私たち一人一人がこのニュースをどのように感じたかを意見交換し合うことにしました。

「いつ新しい薬や治療法が開発されるかもわからない、自ら命を絶つのではなく寿命を全うすべき」という意見もあれば、「もし自分が余命半年と宣告されたら、彼女と同じ気持ちになるかもしれない」という意見もありました。また、実際に身内が延命治療をしないことを決めて亡くなったという経験を持つ人は、家族にとってはつらいけどそれが良い決断だと思った、というようなことを語ってくださいました。

私自身このトピックを選んだ時に、単なる英会話学習のネタとして軽々しくは扱えなる話題ではないなという気持ちがあったのですが、逆に、日本語であろうが英語であろうがひとつの大事な社会問題として議論することは大事なことだとも思いました。

そういう意味で、参加者の皆さんが真摯に自分の考えを述べてくださり、大変に有意義な意見交換ができて良かったです。これこそコミュニケーションの手段として英語を学ぶ醍醐味であると思いました。

真摯な姿勢で英語を学んでおられるサークルのメンバーの皆さんのおかげで本当に充実した英会話ができました。

さて、最後にボキャブラリーの補足です。

terminal illness 末期の病気

lethal 致死量の

life-prolonging medical treatment 延命治療

malignant 悪性の

コメント